「親が死に、あと子が孫が死に」という句がある。これは、江戸時代の俳人小林一茶が「この世の中で一番おめでたい句を」と請われ、しばらく考えて吟じたものといわれている。親が子に、子が孫に見守られて天寿を全うし、安らかな死の門出につくという、ごくあたりまえのこの平凡なできごとが、世の中で一番の幸せなこととされている。子が親に先立つことは俗に”逆さごと”といわれ、非常に親不孝なこととされている。
重症児といわれる私たちの子どもは、現代の医学の総力を駆使して成長しても、子孫をもうけることはまず絶望に近い。親亡きあとの行末を案じ、ふと「心中」を考えたり、自分の手で死なせたいと思つたり、また、少なくとも自分よりさきに寿命を全うさせ、その間は精いつぱいの手を尽くし、手厚く葬つてやりたいと願う親は決して少なくはない。
しかし、何ものも人間の生命を絶つことは絶対に許されない。生命の尊厳は、重症児はもちろん万人等しく同等であるはず。重い心身の障害と日夜たたかいながら精一ぱい生きている子どもたち。この姿を社会の人々に正しく理解してもらい、ともに生きる仲間として認識される日まで、私たちは忍耐強く運動を進めていきたいと思う。
昨年は、全国守る会広島大会、九州・沖縄ブロックでは熊本大会が行われ久しぶりに他県の方との交流ができました。県でも定期総会、学習会と対面での活動ができることはうれしい限りです。
国は「児」はこども家庭庁「者」は厚生労働省と分離され、今後障害福祉にどのような影響が出てくるのかわからない状態です。守る会が提唱し続けている『児者一貫』は、現在入所している子供たちにはさほど影響はないようにおもわれますが、在宅の保護者にとっては大問題です。さらに、施設に入所させること、また、そういう入所施設があること自体が「国連の障害者権利条約」に基づいていないと、重症心身障害児者とふれあったことのない内閣府障害者政策委員会の方たちが「脱施設」「地域移行」を推し進めようとしています。この委員会30人の中に全国重症心身障害児(者)を守る会東京都支部長の安部井聖子委員だけが、「医療と一体となって運営されている医療型障害児入所施設や療養介護の事業所は障害者基本計画において地域移行支援の取り組みの対象とされていないことを明記する必要がある。重症心身障害児者の地域移行を進める場合には、てんかんの重責発作や緊急を要する救命への対処が速やかに行われることが地域生活においても、体制が整備されていることが必要で、その体制が整った施策が充分に地域にいきわたった時点で地域移行を議論していただきたいと思います。施策を進めながらということや、それぞれの地域での対応というような無責任な議論にならないように障害者基本計画の議論をしていただきたいと思います。」との発言に対して、委員全員が反対の主張です。(両親の集い2023.3.4第759号5ページ〜詳しく記載されています) 今後、注視していく必要があります。
強度行動障害については、令和5年9月に広島で行われた第60回全国大会でこども家庭庁から令和4年度厚生労働省での検討会の資料がまとまり5年度報酬改定の検討と合わせて人材育成や仕組み作りの支援を行っていくと説明がありました。(両親の集い2024.1.2第764号29ページ〜)
「最も弱いものを一人ももれなく守る」という本会の基本理念のもと、いのち輝く障害児者の可能性と声なき声を受け取る力を身に付けるべく活動を行ってまいります。
【活動内容】
1、 強度行動障害者については、医療的ケアを必要とする者を療養介護の対象とすることが盛り込まれましたが、強度行動障害の認知度が低く、障害の程度も極度に個人差があり市町村が認めない事例もあるようです。これを踏まえ、強度行動障害児者への理解を深める活動を積極的に展開します。
2、 障害児者福祉を取り巻く環境が変革する中で、新型コロナウイルスへの対応としてワクチンの優先接種や面会の工夫など、重症心身障害児者やその保護者が不安を感じないよう、諸情勢について正確かつ迅速な情報提供に心がけ、新たな問題や疑問等に適切に対応していきます。
一方、会員にあっては、これらの情報を的確に受け止め、理解に努めるとともに他人任せにすることなく、支部・ブロック役員とともに積極的に活動します。
3、 障害福祉サービスの実施主体が市町村に移行され、保護者会の活動そのものがそれぞれの地域における障害福祉施策に直結しています。医療技術の進歩により救われる命が増え、在宅で暮らす医療依存度の高い重症心身障害児者も増える傾向にありますが、入所施設や、NICU等からの退院支援も含めた短期入所や通所施設などの在宅サービスの量が十分に確保されているとは言い難い状況にあります。各保護者会における各行政に対する働きかけ如何によって、地域の障害福祉施策の推進が左右されるとの認識のもと、重症心身障害児者への理解を深めるための活動を支援します。
4、 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター及び東佐賀病院における療育の質の向上と、重症心身障害児者本人にとってより良い生活が確保されるよう、引き続き各病院における親の活動を支援します。
5、 母親たちの切なる声を結集するため、母親部会の組織化に努め、部会活動の積極的な取り組みを推進します。
6、 組織体制の強化を図るため、保護者会への働きかけや意見交換会等を積極的に推進し、共同意識を深めると共に会員拡大に努力します。
7、 成年後見人の役割と責任について
今日の、成年後見人(親族)の高齢化傾向は見過ごしできない現状にあることに痛感し、法定代理人としての認識及び後見事務(法律行為)を理解できず職務を忠実に遂行できない者が多くいることも実態として捉えることも必要でありま
す。このような現状を考慮し、成年後見人の認識を深めるため、保護者会の主催による研修会等を推進・支援します。
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