【大会開催趣旨】 
佐賀県の国立病院機構「重症心身障害児者病棟」を設置する2施設に入院中の患者の親の年齢の平均は67.6歳、親の年齢が70歳を超えるものは43%である。
ここ数年目に見えて親の高齢化が進んだように思う。この現象は多分九州・沖縄ブロックの会員の皆さんが総会や行事のたびに痛感されていることではないかと思う。
 このことは、第三者後見人の増加傾向にある理由の一つとして考えられる。現在(平成29年6月)両施設における第三者後見人の数は東佐賀病院で27人、肥前精神医療センターで14人と徐々に増えてきている。私たちは親として最後の最後まで成年後見人の役割と責任を守らなければならないと思っている。その理由は、身上監護のことを考えるからである。親の願いは面会をするたびに元気な子どもの姿を見ること、季節ごとの衣替え等、散髪及び爪切り等をする喜び、散歩に連れ出し外気に触れさせてやることと思っている。ところが、第三者後見人の法律行為に伴う身上監護には含まれていない。
 昨年、佐賀県守る会開催の「学習会」で第三者後見専門職の講話の中で、私自身何人かの後見業務を受任しているが、被後見人の生活上の看護は法律行為として理解していないとの見解も示された。かつて家庭裁判所の指導を受けた後見人職務の身上監護は、「本人の心身の状態及び生活の状況に配慮する義務と生活または療養看護(介護等の実質的な行為を含まない。)、介護契約、入所契約、医療契約の締結等」とあるので講師の見解は当然のことだと思われる。
 しかし、親が一番心配していることは介護支援等の行為そのものである。実際だれが支援サービスを行うのかと言えば、病棟スタッフ以外には考えられない。だが日常の病棟スタッフの勤務状態から考えても、親の希望する支援にはほど遠いものがあると言わざるを得ない。
 今、親が考えることは子どもとの絆を繋ぎ止めることであろう。もしどうしてもそれが無理なら兄弟姉妹を後見人候補として考慮していただきたい。
 現在、兄弟姉妹が後見人の選任を受けている数は、東佐賀病院で57名、肥前精神医療センターで21名である。10年前と比較すればかなりの増加傾向にあり、県守る会や家族会役員の中にあっては、兄弟姉妹の親族後見人の活躍は著しいものがある。年老いた親は、兄弟姉妹には彼らなりの生活があり負担をかけたくないという思いがある。しかし、第三者後見人に託したわが子の身上看護が法律行為の範疇にないとするのなら、まず兄弟姉妹を後見人として考え、一人っ子なら三親等内の親族(祖父祖母姪甥)も含めて考慮して欲しい。被後見人の安全安心な日常生活を望む者としては早期に親族後見人を選任する方向性を考え、バトンタッチの準備をすることが大切である。
 財産管理については、家庭裁判所に提出する後見事務報告書は当初からすると年次簡素化され、収支報告の基本的な考え方をもって作成することで難易性を感じることが多少解消されたと思う。子供に関連する支出費用の内、高額な支出等について判断に困る場合は、家庭裁判所に協議する姿勢で臨む限り問題は解消されると思われる。
 高齢者となった親が無心で瞳を輝かせているわが子への最大のプレゼントは何か、この大会に当たり真剣に考えてみたいものである。